小田高、新たなステージへの挑戦

平成16年4月に小田原城内高校と再編統合し、「進学重視の単位制」に進化してから3年。平成19年3月には単位制1期生が卒業し、待望の新校舎が落成。 単位制を活用するための施設・設備を備えた新校舎での授業が同年4月から始まった。大きな変化を迎えたこの1年を紹介します。

「進学重視の単位制」1期生卒業

平成16年入学以来、様々な場面で注目を浴びてきた単位制1期生。ある意味、小田高に対する期待と不安を背負ってきた。担当した職員たちは必死に頑張った。

確かに、勉学に対する意欲は全体的に高まり、校内実力試験(年4回全員実施)や校外模試の成績も上向きであった。「3年間を見通した進路ストーリー」を始め、小田高の進学指導体制を大きく前進させた結果も影響している。

しかし、卒業生の出ていない未知数の単位制小田高に対して、訪問した中学校や塾・予備校関係者の反応は一部を除き今一つであった。

そして平成19年3月。風向きは一気に変わった。1期生の進学実績については進学状況をご覧いただきたい。

新校舎の魅力

新校舎落成が間に合わなかった卒業生たちには誠に申し訳ない。390人収容の視聴覚室は音響設備が整い、年次(学年)集会や進路説明会、各種講演会、講習など頻繁に利用されている。新校舎落成記念式典で披露された同窓会より百周年記念事業寄贈のスタインウェイのピアノも小田高祭や音楽の講習で活用されてい る。

教育課程では平成19年度1クラス最低数名から授業が組まれ、1クラス20名以下の授業が62ある。さらに、50を超える学校設定科目があり、従来の半分の大きさの教室は多くの同時展開授業を可能にしている。このように、小集団授業、多様な選択科目の開講など単位制の利点を存分に活用 している。

また、2、3年次は空き時間が発生する生徒が多数いるため、自習教室を相当数確保し、勉学に励む生徒の自習を支援している。

その他については紙面の都合上割愛する。

「学力向上進学重点校」指定

平成19年5月に県教育委員会より小田高を含めた10校が学力向上進学重点校の指定を受けた。新聞やテレビ等で繰り返し報道されたため、ご存じの方も多いと思う。他県の進学校との情報交換でも必ず話題に上った。

この影響もあり、独自に実施した学校説明会(小田高の他茅ヶ崎、伊勢原、松田)及び小田高で5〜12月の休日に実施した学校見学会&個別相談会の参加者は大幅に増加した。

小田高の取り組みの目的は次のとおり。
(1)神奈川県立の進学校として、単位制高校の特色を活かし、確かな学力を育む教科指導を工夫しつつ、より高いレベルの第一志望校への合格を実現する。

(2)勉学に励むと同時に、部活動や学校行事に一生懸命取り組む気風を育成し、知・徳・体の調和がとれ、自己管理能力にすぐれた、将来地域や社会の発展に指導的な立場で貢献できる人材を育成する。

(3)生徒・保護者、地域のニーズ及び社会の変化を鋭敏に捉え、これまでの慣習にとらわれることなく改善すべきところは全職員あげて取り組み、県民の信託に応える、開かれた学校づくりを推進する。

(4)「目標管理」の視点に立った自律的、機動的な組織運営を目指し、取り組み目標の実現に向けた校内体制の充実と評価システムの確立を図る。

90分授業開始

平成19年度より授業時間を従来の45分から90分へと変更した。従来も45分2コマ連続は数多くあったが、様々な観点から討議を繰り返し、改革に踏み切った。開始当初は生徒、職員に戸惑いが見られたが、だいぶ慣れてきたようだ。

生徒及び保護者の顧客満足度を上げるため、職員個人はもとより、学校としてさらに授業研究を重ね、確かな学力を育み、生徒にとって魅力的な教科指導を目指していく。

「勉強合宿」定着

平 成18年冬に開始した勉強合宿(2年次、55名参加)は、平成19年夏合宿(1年次、82名参加)、平成19年冬合宿(2年次、93名参加)と着実に参加 者を増やしている。いずれも希望者を対象に3泊4日で実施し、自習時間を含めて33時間程度の勉強時間が設定されている。

教科指導だけで なく、「自ら勉強と向き合い、深める姿勢を促進する」ことを目的としたこの勉強合宿の参加者の満足度は非常に高く、終了後のアンケートでは95%を超え た。「自分の『夢』を本気で追いかける気持ちになった。」「今までの自分のふがいなさを思い知った。」生徒たちがこの気持ちを持続するよう、学校をあげて 精一杯指導・支援していきたい。

最近、様々な場面で「周りの子が頑張っているから、私も頑張れる!」という生徒の言葉を聞く。多くの生徒たちがそれぞれの「夢」の実現に向けて真剣に頑張る学校づくりを、校長の指導のもと、さらに進めていきたい。

部活動でも大活躍

小 田高の部活動は健在!5月当初の調査で92%の生徒が部活動に所属し、頑張っている。地道な活動を続けている部(クラブ、同好会)もあれば、○頁の「活動 記録」にあるように、全国大会、関東大会出場も数多い。また、茶道部と生徒会本部は今年度教育長表彰を受けた。同窓会による支援の賜物と深く感謝している。

在校生と卒業生の「絆」

小田高の貴重な財産である「人材」を母校の後輩たちに「つなげ」、同窓生の「絆」を広め、強めて神奈川に「還元」したいと考えている。ぜひご協力をお願いしたい。

「職業別セミナー」後の感想(抜粋)
・何事も失敗を恐れず、答えはこれしかないと考えるのではなく、新しい見方をできるようにしたいと思った。
・これから生きていくうえで大切なことのヒントをいくつか手に入れた気がする。

岡山、京都の進学校訪問と全国連携

平成19年8月、以前から付き合いのある岡山県立岡山朝日高校を始め、倉敷青陵高校、倉敷天城高校、そして今注目の京都市立堀川高校、西京高校を植田副校長、神戸と進路指導担当、教務担当の教諭の4名で訪問した。

事前にかなりの情報を得ていたものの、実際に足を運んで明らかになった有力進学校の実践には学ぶことが多かった。

小田高の生徒、保護者のニーズに応えるため、今後も学校全体で全国の有力進学校との連携・情報交換を一層進め、全国を見据えた進学指導を実践していく。

同窓生の学校関係者からの情報提供、ご協力をぜひお願いしたい。