今泉博士寄贈の洋書を校史展示室に展示

陸軍獣医学校校長を退職し、小田原に住んでいた今泉六郎博士が大正3年、旧制小田原中学校へ洋書10冊を寄贈しました。その洋書の中に、ドイツの哲学者ヘーゲルが書き込みをした自著『フィヒテとシェリングの哲学体系の差異』があり、学校が廃棄した後、学者の蔵書を経て、古書店に出回っていました。平成26年、明治学院大学の寄川条路教授がその書を見つけ、ヘーゲルの自筆であることを発見しました。寄川教授は、その書に神奈川県立第二中学校の蔵書印が押されていたことから、来校して調査し、寄贈の経緯等を明らかにしました。

寄贈された洋書10冊のうち5冊が現存しており、今回その5冊を常設展示しました。そのうちのヴント著『倫理学』には、国語学者の上田萬年による今泉博士帰国の祝辞が記されています。この書は、今泉博士と上田が明治23年からドイツ留学し、先に帰国する今泉博士へ上田が贈ったものです。上田はその後、東京帝国大学国語学教授となり、日本語の標準語を選定し、小学校の国語教科書を通して標準語を全国に広めました。

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今泉博士が寄贈した洋書5冊。右端はドイツ留学中の上田萬年が明治26年に帰国する今泉博士へ贈った洋書