生物標本群の保存・活用ーオランウータンなど


令和5年1月、生物教材室に保存されているヒレンジャク(明治39年)、オジロワシ(明治44年・絶滅危惧ⅠB類)、タイマイ(大正2年・絶滅危惧ⅠB類・ワシントン条約附属書Ⅰ類)、サンカノゴイ(大正10年・絶滅危惧ⅠB類)、オランウータン(昭和7年・ワシントン条約附属書Ⅰ類)を湘南剥製研究所によりクリーニング・補修し、生物教材室に展示しました。

環境省は令和元年にレッドリストを公表し、絶滅危惧種をIA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)、IB類(IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)、Ⅱ類(絶滅の危険が増大しているもの)に分類しています。また、ワシントン条約は昭和48年に採択され、野生動植物種の絶滅を防止するため、国際取引を規制しています。特に附属書Ⅰ類は、掲載種を商業目的に輸出・輸入することを禁止し、国内取引も規制しています。

ヒレンジャク(明治39年)
ヒレンジャク(明治39年)
オジロワシ(明治44年・絶滅危惧ⅠB類)
オジロワシ(明治44年・絶滅危惧ⅠB類)
タイマイ(大正2年・絶滅危惧ⅠB類・ワシントン条約附属書Ⅰ類)
タイマイ(大正2年・絶滅危惧ⅠB類・ワシントン条約附属書Ⅰ類)
サンカノゴイ(大正10年・絶滅危惧ⅠB類)
サンカノゴイ(大正10年・絶滅危惧ⅠB類)
オランウータン(昭和7年・ワシントン条約附属書Ⅰ類)
オランウータン(昭和7年・ワシントン条約附属書Ⅰ類)

昨年度は、ホトトギスのメス(明治45年)、ブッポウソウ(大正元年・絶滅危惧IB類)、ヘラシギ(大正8年・絶滅危惧IB類)、ウミスズメ(大正11年・絶滅危惧IA類)、ハリモグラ(昭和7年・絶滅危惧LC)、シラコバト(採集年不明・絶滅危惧IB類)をクリーニング・補修しました。希少種の標本は学術的に貴重ですが、普通種であっても明治・大正時代の標本は近代中等教育の「歴史的教材」として貴重です。本年度の作業によって、絶滅、絶滅危惧IA類・IB類のクリーニング・補修がすべて完了しました。来年度以降は、絶滅危惧Ⅱ類を中心に作業を進めていく予定です。